古代史探訪

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人類とネアンデルタール人の混血

 ネアンデルタール人は欧州などに20~ 30万年前に住み始め、狩猟などで生活していた。
 イギリスのオックスフォード大のチームが遺跡の出土品などを分析した結果によると、ネアンデルタール人が欧州で絶滅したのは41,000年前~39,000年前だった。45,000年前には欧州の広い地域に生活の痕跡があったが、約40,000年前にいなくなった。
 
 約40,000年前にネアンデルタール人が絶滅した時期には、欧州に現生人類(ホモ・サピエンス)が既に現れており、ネアンデルタール人と現生人類が数千年の間共存していたので、両者の混血や技術の交流があったと考えられる。
 
 「日経サイエンス」12月号の記事によると、人類とネアンデルタール人の混血については、かなりの交わりがあったことが明らかになり、別の血を入れることが人類をより強く進化させたようだ。

 ウィキペディアによると、『ネアンデルタール人は約20万年前に出現し、2万数千年前に絶滅したヒト属の一種である。シベリアのアルタイ地方で発見されたデニソワ人、インドネシアのフローレス島で発見されたフローレス人は、ネアンデルタール人の兄弟種である可能性が高い。
 ネアンデルタール人は、ヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアにまで分布しており、旧石器時代の石器を作製し、火を積極的に使用していた。
 遠目には現生人類とあまり大きく変わらない外見をしていたと考えられ、遺体は屈葬の形で埋葬していた。』とあります。

 化石人類の発見、分子遺伝学の研究、解剖学的研究などによって、ネアンデルタール人と現生人類の間に混血があったことが分かる。
 ネアンデルタール人はアフリカには生存していなかったので、アフリカ系の人類はネアンデルタール人と混血していないが、「出アフリカ」をした人類の全遺伝情報の2~3%ほどがネアンデルタール人由来になっている。

 しかもヨーロッパ人だけでなく、アフリカ人以外の民族は同じような割合でネアンデルタール人のDNAを引き継いでいる。これは人類が「出アフリカ」の直後にネアンデルタール人と交わり、遺伝子を引き継ぎ、その後世界に広がっていったと考えられる。そして環境や進化の違いで様々な人種に分かれていった。

 ネアンデルタール人の遺伝子は現代人に一様に分布しているのではなく、民族・自然環境などによって特定の遺伝子が選択されている。
 ネアンデルタール人は絶滅したが、我々人類の中にDNAを残しているので、完全に絶滅した訳ではなく人類の中に溶け込んだ。
 ネアンデルタール人の遺伝子は人類の拡散と共に世界中に広まっていった。

 ネアンデルタール人からヨーロッパ人へ引き継がれた遺伝子は、皮膚、爪、髪などの遺伝子部分に細分化されて多く残っており、白い肌、金髪や赤毛、青い目などはネアンデルタール人由来の可能性が高い。
 東洋人の直毛もネアンデルタール人由来のようだ。
 またネアンデルタール人は丈夫ながっしりした体格で、顔は大きく、鼻も大きく、手足は短かった。

 45,000年前のスロベニアの遺跡から見つかった出土品の中に、ネアンデルタール人が熊の大腿骨で作った笛もある。

 人類がネアンデルタール人から受け継いだDNAは免疫力を高めたらしい。デニソワ人由来のDNAにより、チベット人は標高4,500mを超えるチベット高原の薄い酸素の中でも生活できるようだ。
 このように混血は我々人類に有益だったようで、生存に有利に働く遺伝子をネアンデルタール人などから獲得できた。
 それに反して、ハーバード大学医学部の論文によると、ラテンアメリカの人々の糖尿病を引き起こすDNAはネアンデルタール人由来と結論付けている。
 また、オックスフォード大学とプリマス大学が、癌はネアンデルタール人のDNAに原因があると発表している。

 ミトコンドリアDNAは母親から子に引き継がれるが、人類とネアンデルタール人にはミトコンドリアDNAが一致しない。これをどう考えるか、現段階では正解を出すのは困難です。

 日本の古代史研究にもDNAや考古学的成果を有効に利用して欲しいと思います。縄文人の特質はどうなのか、弥生人はどうなのか、弥生人でも呉系・越系・楚系に分けるとどうなのか、列島各地でどのように住み分けていったのかなどです。
 遺伝子を広範囲に調べると、どの時代にどの民族との交わりがあったか解明できる。民族の移動、侵略、支配などが分かる。
 その研究結果と記紀や古文書の文献史料、考古学的成果、神社や各地の伝承などと照らし合わせて古代の姿をより鮮明に描き出して欲しいと思います。
 2012年12月31日投稿の「古代史とDNA」をご参照ください。
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by enki-eden | 2015-01-13 00:16