猪名野神社(いなのじんじゃ、伊丹市)
祭神 猪名野坐大神(建速須佐之男命)
誉田別尊(15代応神天皇)
当社の元宮は、7世紀半ばに猪名寺村(尼崎市)の猪名寺境内に建立されたが、60代醍醐天皇(885年-930年)の904年に猪名寺の元宮から当地に遷座した。
織田信長(1534年-1582年)の軍勢が、1578年に信長に対して反旗を翻した荒木摂津守村重(1535年-1586年)の有岡城(伊丹城)攻撃時に猪名寺は焼失したと考えられる。荒木村重は逃亡し、最後には出家して茶人となったが52才で亡くなった。
猪名寺は廃寺となったので法園寺(尼崎市猪名寺1丁目31-45)が継承している。猪名野神社の元宮は法園寺本堂右に現存しており、御旅所となっている。
当社は神仏習合時には野ノ宮(天王ノ宮)と称したが、明治の神仏分離令により仏教関係を130m南の金剛院に移した。そして野ノ宮を猪名野神社と改称し伊丹郷町の氏神となった。
猪名野神社と同名の神社が伊丹市寺本2-81にもあるが、祭神は高皇産霊尊になっている。
伊丹は摂津国猪名川上流にあり、戦国時代には荒木村重の城下町となった。当社の立地は有岡城惣構(そうがまえ、東西800m、南北1700m)の北端に位置しており、「岸の砦」があった。境内に岸の砦の土塁跡と堀跡が今でも残っている。
伊丹の清酒の製法(鴻池流)は三段仕込みで効率がよく、大量生産できるので全国に製法が普及した。それで伊丹では「伊丹が清酒の発祥地」とみなしている。
鴻池村で清酒の醸造を始めた鴻池家は大坂に進出して醸造業を営み、海運業や両替商に転じ、江戸時代最大の財閥になった。
鴻池家は明治以降には第十三国立銀行を設立したが、普通銀行に転換し鴻池銀行となる。後に合併で三和銀行となった。現在は三菱東京UFJ銀行となっている。
鳥居と社号標、神額は美しい両部額になっている。
拝殿、伊丹市は「清酒発祥の地」とされ、酒樽奉納が多い。
本殿、工事中。
大地主神社(大国主神)、恵比須。
稲荷神社(宇迦能御魂神)
神明神社(天照皇大神)
相殿社(貴布弥神社、塞神社、祓戸神社、熊野神社、五桂皇子神社、
立田神社)
愛宕神社(火之迦具土神)
佐田彦神社(大山祇命、佐田彦命、宮比売)
厳島神社(佐依毘売命、市杵島姫尊、多紀理毘売命、金山彦命、
多紀都毘売命)
市杵島姫尊だけ「命」ではなく「尊」の敬称を使っているのは意味がありそう・・・
天満神社(菅原道真公)
新宮神社(天児屋根命、大山咋命、三筒男之命)
有岡城(伊丹城)惣構北端の「岸の砦跡」