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古代史探訪 enkieden.exblog.jp

神社、遺跡めぐり   1943年生   印南神吉 (いんなみかんき)


by enki-eden
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但馬国(たじまのくに)

 但馬地方は兵庫県の北部の地域で、北は日本海、南は播磨地方と丹波地方、東は京都府、西は鳥取県と接している。
 但馬は全体に山が多いが、兵庫県の面積(8,396㎢)の25%(2,134㎢)を占め、東京都の面積(2,188㎢)に近い。
 山口県から兵庫県まで続く東西500㎞の中国山地は標高1,000m前後で、磁鉄鉱系の花崗岩が多く砂鉄が豊富で、川も多いので、古代から吉備国を中心として踏鞴製鉄が盛んに行われた。
 但馬では高い山もあり、氷ノ山(ひょうのせん、1,510m)が一番高い。但馬の冬は雪が降って寒く、スキー場が賑わう。夏は逆にフェーン現象で暑い。

 但馬地方は但馬北部(北但)の豊岡市と美方郡(みかたぐん)、但馬南部(南但)の養父市(やぶし)と朝来市(あさごし、一部は播磨地方)からなっている。
 豊岡市に但馬飛行場(コウノトリ但馬空港)があるが、播磨から行くにはJR播但線か播但連絡道路が便利。私はよく播但連絡道路を利用します。途中、道の駅「ようか但馬蔵」で休憩します。
 
 但馬国総社は氣多神社(けたじんじゃ、大己貴命、豊岡市日高町上郷)、一宮は「出石神社」(いずしじんじゃ、天日槍命、豊岡市出石町宮内)、二宮は「粟鹿神社」(あわがじんじゃ、日子坐王、朝来市山東町粟鹿)であるが、粟鹿神社も但馬国一宮を称し、全国一の宮会に加盟している。
  
 但馬国風土記は残っていないが、9世紀から10世紀にかけて編纂された「但馬故事記(但馬国司文書)」は残っているので、但馬の旧事を知ることができる。

 先代旧事本紀の国造本紀によると、但遅馬国造(たじまのくにのみやつこ)は13代成務天皇の時代(4世紀前半)に、竹野君と同祖の彦坐王(ひこいますのきみ、9代開化天皇の皇子)の五世孫の船穂足尼(ふなほのすくね)を国造に定めたとある。
 朝来市桑市の船宮古墳(ふなのみやこふん)が船穂足尼の墳墓と伝わるが、5世紀後半築造で少し年代が合わない。前方部に船宮神社が鎮座している。
 船宮古墳は但馬地方で2番目に大きな前方後円墳で、総長117m、墳丘長91m、後円部径49m、高さ6mの三段築成。   
 但馬地方最大の前方後円墳は墳丘長136mの「池田古墳」(朝来市和田山町平野)で、5世紀初め頃の築造。原型を留めていないが、兵庫県では4番目の大きさ。こちらが船穂足尼の墳墓かもしれない。
 但遅馬国造は但馬国東部(現在の豊岡市、養父市、朝来市)を治めた。

 同じく先代旧事本紀の国造本紀によると、成務天皇の時代に、二方国造(ふたかたのくにのみやつこ)を定め、出雲国造と同祖の遷狛一奴命(うつしこまひとぬのみこと)の孫の美尼布命(みねふのみこと)に任じた。二方国造は但馬国西部(現在の美方郡)を治めた。
 兵庫県美方郡新温泉町竹田1に鎮座の面沼(めぬま)神社は二方地方の総社で、二方国造の美尼布命を主祭神としている。

 但馬の地名由来は、確かなものはないが、私見では「田島」だと考えている。つまり、九州の「田島(たしま)」からの移住者が多かったのではないか。「たしま」→「たじま」に変化した。
 福岡県宗像市田島(たしま)2331に鎮座の宗像大社は宗像氏の本拠地。佐賀県唐津市呼子加部島に鎮座の田島神社(たしまじんじゃ、宗像三女神)は宗像大社から勧請した。
 宗像氏の祖神は大国主命(大穴持命、160年頃出生)で、大穴持命が但馬巡視をして田島と名付け、その後多遅摩→但馬に変化したか。

 但馬開発の祖神は天日槍命(あめのひぼこのみこと)となっている。天日槍命は新羅の王子と云われており、私見ですが、230年頃の出生。
 天日槍命は多遅摩俣尾(たじまのまたお)の娘・前津見(さきつみ)を妻とする。或いは、太耳の娘の麻多烏(またお)を妻とするとも云う。
 天日槍命の7代目に息長帯比売命(神功皇后、321年-389年)がいる。私は、天日槍命は新羅人ではなく、任那(みまな、562年滅亡)の倭人であると見ています。

 大分県日田市田島(たしま)の東隣りは日高町で、金銀錯嵌珠龍文鉄鏡(きんぎんさくがんしゅりゅうもんてっきょう)で有名なダンワラ古墳があった。2017年3月30日投稿の「比多国造」をご参照ください。
      
 日田市の田島にも兵庫県の但馬にも日下部氏の本拠地がある。船穂足尼の子孫に但馬国造の日下部君がおり、その後裔が日下部氏となっている。日下部氏は全国に広がっている。

印南神吉   メールはこちらへ  nigihayahi7000@yahoo.co.jp

by enki-eden | 2018-12-19 11:03